コラム

【ファイナンス】貸借対照表をどのようにチェックしているか      茨城県つくば土浦 税理士 武石光弘

 与信判断をするうえで重要な指標に貸借対照表があります。決算報告書にもある指標なので皆さんもなじみがあることでしょう。金融機関担当者は、その指標のどこをポイントとしているのかを説明します。ポイントは主に以下の5点です。

 

1.資産と負債、純資産とのバランスをみる

2.短期支払い能力をみる

3.余剰金で会社の質をみる

4.資産の内容をみる

5.借入の内容をみる

 

1.資産と負債、純資産とのバランスをみる

財務内容の良い会社は、流動資産が厚く短期支払い能力が優れており、一方で負債が少なく、純資産などが厚いといった特徴があります。

資産サイドは流動性が高い資産が多い方が決済能力も優れ、安全性が高く、負債、資本は逆に資本金や固定負債のほうが好ましいと言え、このバランスを確認します。

 

 

2.短期支払い能力をみる

 短期支払い能力を把握することは、その企業の安全性をみるうえで、非常に重要なポイントになります。例えば、流動資産の額が流動負債の額の何倍あるのか等です。

 

 理想は2倍と言われていますが、そこまである企業はそうないので、最低限流動資産>流動負債となっているかを確認しています。最近ではレナウンが倒産しましたが、短期支払い資金である現預金が少なかったことも、短期支払い能力が脆弱だったと言えます。

 

 

3.余剰金で会社の質をみる

 会社の内容を把握する手段のひとつに利益剰余金があります。利益剰余金のうち、その他利益剰余金には積立金と繰越利益剰余金がありますが、これらがどのくらい蓄積されているかで、企業がいままでどのような経営をしてきたかを見ることが出来ます。要するに、会社の歴史を端的に表している指標です。この指標で会社の質を確認します。

 

 

4.資産の内容をみる

 資産の部にある勘定科目は、その企業が負債や資本金で調達した資金をどのように運用しているかを表しています。ここに好ましくない勘定科目がないか、あるいはそれが増加していないかといった点に注視します。

 

例えば、投資有価証券や短期貸付金などが増加していないか、売掛金や受取手形、在庫に不良なものはないか等を内訳書から確認しています。先ほどの短期支払い能力で流動資産には売掛金や受取手形が含まれます。よってその中に不良なものがあれば金融機関がそれを控除して短期支払い能力を確認します。

 

 

5.借入の内容をみる

金融機関にとって取引先企業の償還能力は非常に重要な問題です。そして3~5年間の内訳書から借入金の推移を確認します。その中で大幅に増加した等、変動が大きい箇所は、その理由を確認します。

 

金融機関は、他行の取引状況に大変敏感です。例えば内訳書をみると金融機関同士で借換えしていることがあります。その時、なぜ借換えしたのか、その理由を聴くことで社長の性格等を確認します。

 

 

6.まとめ

 金融機関は、大まかに以上5点について確認し与信判断の材料としております。それを踏まえ、返済能力を補うために、保証協会付き融資や担保を検討するなど個別具体的にどういった融資を実行するのか判断しています。

この5点を強化し、良い条件で借入が出来るよう財務を良くしていきましょう。

 

 

 

茨城県つくば土浦 税理士 武石光弘