コラム

【社長の勘違い】 現金預金は月商の3ヶ月分を持ちなさい①     茨城 つくば土浦 税理士 武石光弘

現預金3ヶ月分の考え方

 盤石な会社とはどんな会社でしょうか?  

 一言で言うなら 私は 『現金預金の額が借入金よりも大きい』会社 と言います。

 中小企業の殆ど(90%)は、多かれ少なかれ借入金があります。当然返済することとなります。返済のためには現金預金が必要です。銀行から突然返済を求められたときに現金預金が無いと資金ショートになります。現金預金は借入金よりも多く持つようにします。実質、無借金を目指します。現金預金と借入金の差額が大きいほど 会社は安全と言えます。

 

 『月商の3ヶ月分の現金預金をもたなければならない』と よく聴きます。しかし、これはおかしいです。そもそも、貸借対照表 BS の項目である現金預金を、損益分岐点 PL の項目である月商を目安にして考えるのが誤りなのです。

 

 毎月の売上が、全ての会社に同じ条件で 必ず入金されることなどありません。売掛金、入金までの期間、受取手形、条件はいろいろあります。また、必要なお金は、支払い条件によっても変わってきます。

 

 例えば、粗利益額が同じ会社が2つある とします。A と B にします。(上記)

 粗利益額、固定費の額、経常利益の額、社員の人数 すべて同じ。違うのは売上高と変動費です。

 

A社   売上高2億円で、粗利益率50%の1億円。

B社   売上高10億円で、粗利益率10%の1億円。

 

 2つの会社の違いは売上高のみ です。5倍違います。

 では、B社はA社の5倍の現金預金を持たなければならないのでしょうか?

 

 そんなことはありません。A社もB社も持つべき現金預金は ほぼ同額です。同じ規模(社員の人数)ならば、持つべき現金預金も同じになるなるのです。不足する現金預金はいくらか を考えて、その不足分を借入金で賄う事にします。

 

 かなり単純に考えると、不足する現金預金は、売掛金と買掛金の差額 という事になります。A社B社 共に1年間入金も出金もなかったと仮定して、売上全てが売掛金で、変動費のすべてが買掛金と考えた場合、A社 B社共に1億円の資金が不足することとなります。

 

 A社B社共に借りなければならない金額は、1億円となります。手元のお金も1億円あればいい 事となります。月商に5倍の開きがあっても、必要な資金は同じ となります。

 

続く

茨城 つくば土浦 税理士 武石光弘