コラム

【社長の勘違い】BSの事は良くわかっている    茨城 つくば土浦 税理士 武石光弘   

●驚くほど多くの社長がBSの事を分かっていない。

 世の中の意は数字に強い、財務に強い と言われている社長が多くいます。このような社長さんは、PL(損益計算書)はもちろん分かっている、BS(貸借対照表)も分かっている、と思っています。確かにBSの事はある程度分かっています。

 

 しかし、分かっている と言っている社長さんでも、ごくごく一部を除いて ほとんどの人がBSの本質までは理解していません。財務に自信がある と言っている社長さんでも何かしらの勘違いをしています。

 

  上記のようなことを言えるのには理由があります。自分の会社の『自己資本比率』を言える社長がほとんどいないのです。

 

 『自己資本比率』は、経営の安定性を示す指標としてよく知られています。これは、BSの本質をズバリと示すものです。

 

 『自己資本比率』とは、会社の総資産のうち 純資産(自己資本)が何%あるか を示すものです。BSを理解していれば即答できます。

 

 しかし、実際に社長に『自分の会社の自己資本比率は何%ですか?』と質問しても、答えられません。BSを見てもらって、『これで計算できますよ』 とお伝えしても答えられません。

 

 中小企業にとってBSは極めて大切です。しかし、自己資本比率も分からないのでは、BSを読む、数字を読む経営など出来ません。社長にはBSの本質をしっかり押さえてもらわなければなりません。

 

●BSとは 会社に残っている財産 

BSを見ない、数字に関心のない職人社長だと、自分の会社の預金口座の残高も知らない可能性があります。実際にいました。毎月のおおよその売上高も知らない社長もいます。これでは自分の会社が黒字なのか赤字なのか 分かるわけがありません。 

 

 BSを読む経営が出来るように、BSの意味を確認します。

 

 BSを一言で言うと『会社に残っている財産と、その調達の方法を金額で示した表』と言う事になります。

 

 BSの形を見ると、左右2つに分かれています。右側は、お金の集め方 が示されています。左側には、集めたお金の使い方 が書いてあります。

 

 別の言い方をすると、表の右側が『資金の調達の方法』であります。左側が『調達したお金で買った財産』つまり会社の財産となります。

 

 会社の財産は、必ず何らかの方法で調達した資金で購入していますので、左右の金額は必ず同額になります。

 

 BSの右側にある資金の調達方法は大きく『負債』と『純資産』(自己資本)の2つに分けられ、上が負債で下が純資産 となります。

 

 負債は 借金リスト と思ってもらえれば良いです。取引先や銀行から借りているお金です。いずれ返済しなくてはなりません。

 

 負債は、返済期間の長短によってさらに『流動負債』と『固定負債』に分けられます。上が流動負債で、下が固定負債です。

 

 流動負債は買掛金や支払手形など 比較的早く返済しなければならないものです。固定負債は長期借入金など、返済期限がしばらく先になる負債です。

 

 負債の下にある純資産は自己資本とも呼ばれます。これは、その名のとおり、自分で調達したものです。要するに誰かに返済しなくていいお金です。資本金や利益剰余金などがあります。

 

 

 

 

 

 

 

持ち物リスト - 借金リスト = 自分のもの

 

 BSの左側には、右側の調達資金で購入した資産のリストがあります。つまりBSの左側は、会社の持ち物リスト と言えます。

 

 これは、現金預金や売掛金や棚卸資産などの『流動資産』と、土地建物など、なかなか換金できない『固定資産』に分けられます。

 

 流動資産が上で、固定資産が下です。

 

このようにBSの構造を知っておくと、自己資本比率は簡単に計算が出来ます。

 

 会社の財産のうち 何%くらいが自分のものか を表すのが自己資本比率比率です。

 

茨城、土浦つくば税理士  武石光弘