【資金繰り表と資金調達余力を理解し武器にする 】つくば市、土浦市 税理士武石光弘
つくば、土浦 の税理士 武石光弘です。
「勘定合って銭足らず」という言葉があるように、損益計算書上は利益がでているのに、資金繰りが上手くいかず倒産してしまう会社があります。
会社の倒産は、現預金がなくなることで起こります。実際、顧問先でも急に借入をするから試算表を準備してくれと依頼が来ることもあると思います。
顧問先のお客様でも売上が伸びているから現預金も残っているものと思っていると経理から今月お金が足りませんと報告があって大慌てで借入をお願いする。このようなことは日常茶飯事に起こっています。
こんなことにならないように日頃から資金繰り表を作成しておくことが大事になります。
1.資金繰り表とは
資金繰り表とは、お金の出入りを表す表です。決算書の損益計算書とは異なるものです。
損益計算書は、売上や仕入の事実に基づいて会社の損益を表したものになりますが、資金繰り表は、売上の入金や仕入代金の支払の事実に基づいて会社のお金の残高及び流れを示す表です。売上の計上と入金のタイミングは、多くの場合ずれています。
飲食業や小売店においても、クレジットカードで支払いをすれば、売上の計上と代金入金のタイミングはずれます。また、仕入の計上と仕入代金の支払いのタイミングも同じように異なるわけで、損益計算書と資金繰り表は、異なる結果になります。
損益が黒字でも資金繰りはマイナスになったり、逆に損益が赤字でも資金繰りはプラスになることもあります。
2.資金繰り表を求められることがあります
金融機関も融資申込みの際、資金繰り表の提出を求めることがあります。融資で最も重視する点は、資金使途と返済原資です。
設備資金の場合はハッキリと資金使途が分かりますが、運転資金の場合は、なぜ必要かは資金繰り表を見れば分かります。
その借入金額が妥当であるのか確認することも出来ます。
金融機関側からするとその資料をお客様から提出されると数字に強い社長だと思ってもらえます。
資金繰り表は半年間ぐらいを目安に作成することをお勧めします。(慣れるまでは3か月分位でもいいです。)書式はネット上にある簡単なものを選んでいただければ結構です。
是非、自社で作成することが出来るように指導することをお勧めいたします。
3.資金調達余力の考え方
金融機関では資金調達余力という言葉があります。資金調達余力とは、文字通り「あといくら位借りられるか」を表すものです。これを把握しておくと自社にとって借りられる目安を立てることができ、資金繰りを考える上で役に立ちます。
ただし資金調達余力には明確な計算式があるわけではありません。ではどのように考えるのか。
それは「過去にいくらまで借りることができたか」。それが1つの目安になります。
1、保証協会付融資
保証協会にも審査機関があり、決算書を基に審査を行っています。決算内容が変わらなければ過去の融資額までは借入することはよほど何かない限り可能である場合が多いです。
また、決算書を金融機関に提出した際には、金融機関は保証協会にも提出します。その際に担当者に空き枠の確認をお願いしておくと保証協会から目安ではありますが教えてくれますのでお勧めします。
2、各金融機関のプロパー融資
こちらも過去にMaxいくらまで借入できたが目安になります。これは金融機関ごとという考え方もありますし、全ての金融機関の合計という意味でも使えます。
金融機関の担当者は他行が完済するのを待っていて、その返済分を自分のところに持ってこようとしている訳です。これらは返済実績に基づく考え方です。
4.最後に
業績が悪くなりそうと感じたならば、その前に手を打つ必要があります。悪くなった試算表等では過去の実績では判断してもらえないからです。
これらのことを意識しておくと借入する際に役に立ちます。是非参考にしてみてください。