銀行員が分かりやすい決算説明とは?? 土浦 つくばの税理士 武石光弘
【決算説明は事業性を伝えるチャンス】
日本では3月決算の会社が多く、皆様の会社でも決算が落ち着いた方も多いのではないかと思います。コロナの影響で申告が伸びている会社様もあると思いますが、決算書が出来上がれば、金融機関の担当者に決算を提出することになります。
この時のポイントは、ただ渡すのではなく、決算の説明を行うことで、会社のことを銀行員によく知ってもらう機会にすることです。この機会を無駄にするのは、とてももったいないです。
今回は、決算説明はどのようにするのがよいか話をしたいと思います。
P/L3割、B/S7割位の比率で説明
決算の説明というとその期の損益について話をすればいいと思いがちではないでしょうか。
黒字であったか赤字であったかは、もちろん大事なことですが、ただ結果の数字を読み上げるのではなく、その数字に裏付けられる取組みについてよく話す必要がありますし、それを踏まえて今後の方針を説明することが大事だと思います。
黒字にも赤字にも理由があります。それを社長様自身がよく理解し、前期はどうであったのか、またそれを踏まえて新しい期はどう取り組んでいくのかをきちんと説明できることが銀行員の信頼を勝ち取ることに繋がります。
そして、それ以上に貸借対照表の説明も行っていただきたいと思います。財務体質をよくするということは、B/Sをよくすることです。
今後どのような方向に進めていこうと計画しているのか、例えば設備投資はいつ何をいくらかけて行うのか。それに合わせていくらの借入をし、何年で返済するか、考えを伝えることも必要ですし、売掛金や買掛金、在庫、その他の科目においても大きく変動があったものについては、きちんとその原因を説明する必要があります。
また、これからの動きとして、取引先の変動や新商品の製造販売等に際しても、どう売掛金や買掛金、在庫が変化していくのかなど、今期の見通し(今でいえば、コロナの影響等)も踏まえて話が出来ればとても良いかと思います。
資金繰りが苦しい時は資金繰り表も
資金繰りが苦しい場合には資金繰り表も合わせて作成し、資金計画を伝えることも必要だと思います。しかし、お客様自身で資金繰り表を作成していた会社は、ほとんどありません。
稟議等で資金繰り表が必要になれば、売上見込み等を確認し、みんな銀行員が作成しています。銀行員が稟議のために作ったものとお客様がご自身で資金繰りを把握して作成したものとでは信頼度は全然違います。
まして、リスケ中であれば、決算と合わせて割賦金の見直しを行うことが通常ですので、返済可能額を考える上でも必要になります。(たとえ返済可能額は0円であってもです。)
インターネット等で資金繰り表を検索すれば、様々な様式のものがヒットすると思います。自分に合った簡単なもので結構ですので、是非、作るようにすると、資金のショートするタイミングやお金の流れも理解できるようになりますので、取り入れてみてください。そして、それをもとに資金繰りのシミュレーションもいくつか行ってみると更に良く分かるようになります。
利益計画について
今後の利益計画ですが、社長様が今後の計画をどう考えているか知るのに必要です。
しかし、作られあったとしても利益計画の内容が、絵に描いた餅のような計画が多いため、詳細について確認すると黙ってしまうことが多くあります。
直近1年程度の計画であれば現実的なものが多いかと思いますが、2年目以降5年先位までくるとその計画には根拠となるものがない計画になっていることが多かった記憶があります。
中期計画を立てることはとても大事なことです。きちんと設備や人材への投資、商品計画等を踏まえた計画を作成するように意識してみてください。
また、B/Sもどう改善していくのか、よく考えることが大事です。不要資産の売却や現金をどのように増やしていくのか、借入金はどうしていくのか等も考えて、計画を立てていきましょう。
土浦 つくばの税理士 武石光弘